H25年4月1日の経営お役立ち情報として、「今からでも遅くない、意外ともらいやすい補助金」を掲載しました。この補助金は非常に好評で、H25年の補正予算でさらに2回にわたる公募が継続され、H26年度でも実施されることは確実と見られています。この補助金申請を行って採択された1事例を紹介します。

H社は杭打の専門工事業者で、従来は2台の大型クレーンが必要であった杭打施工を、回転トルクの簡単な調節を行う「全周機」という機器を取付けることにより、1台のクレーンで施工可能にする工法を考案し、この開発で補助金申請しました。

内容が専門的になるので詳細は省きますが、この補助金申請が採択されたポイントは以下の3つです。

【開発技術の内容をできるだけ解りやすく解説したこと】

この補助金は数万件を超えるため、全国の中小企業診断士が審査の判定に関わっていますが、1件当たりの審査に30分以上かけられません。 審査員はほとんどが文系の人であり、工学的な専門知識がないと判断できないような説明内容では、判断不可能として採択対象から外されてしまします。 そこで、技術的革新にあたる部分の解説を、いかに素人でもわかるように表現するかがポイントとなります。
この事例では、杭打機の簡単なイラストを添付し、補助対象となる機器部分を拡大して、できるだけ漫画チックな絵を描いて解説したことがポイントです。

【従来のものとどこが違うかを明記したこと】

「開発」とは言え、「発明」ではないので、世の中に今迄なかったものというようにこだわることはありません。当社にとって革新的であればよいのです。 「今迄はこのようにしていた、それはこのような問題があった、その問題を解消するためにこのようすることとした、その結果このようなメリットが出ることになる」、ということを順序立てて説明して行けばよいのです。

この事例では、今迄は2台の大型クレーンを使用せざるを得なかった、そのため大手の杭打ち業者しか施工出来なかった、そこで全周機を開発することとした、これにより、小型クレーン1台で施工ができるようになり杭1mあたり〇〇円のコスト減が達成できる、というように説明を展開しました。  これは、できるだけ表にしてコスト比較ができるようにすることが必要です。

【どの程度の市場性が見込めるかを明記すること】

想定される市場規模、そこからどの程度のシェアが見込め、どれだけの売上げ、どれだけの粗利益が見込めるかを明記することが必要です。 将来の予想ですから、確実であるとは言えませんが、何らかの前提を設けて、将来収益の予想を記すことは、補助金審査の合否判定の重要な指標となります。

この事例では、東日本大震災の復興のために東北でもこの程度の杭打ち需要が見込めるというところから始め、この機器の開発によりシェが●●%アップするというように展開しました。

【申請時点では補助対象の費目をできるだけ多くし、実施時点ではできるだけ少なくする】

補助対象となる経費費目は、原材料費、設備費、直接人件費、委託費など11項目にわたります。申請時点で記した経費内訳金額は、実施時点で変更になっても構いませんが、申請時点で記していない費目を追加することはできません。これは申請時のテクニック的なことですが、申請時点での経費費目をできるだけ多く記しておいた方がよいでしょう。

これとは逆に、実施後の実績報告時点では、補助金対象金額を下回らない限り、経費費目をできるだけ少なくするのが得策です。実績報告においては、その費目ごとに支払金額の証拠となる書類の整備が必要となり、そのまとめの作業が大変になるからです。

この事例では、全周機を2つ の設備機器に分け、費目は「設備費」だけとし、人件費も原材料費も計上しませんでした。それでも、機器ごとに、比較見積書、発注書、請書、納品書、請求 書、振込伝票、検査報告書などの証拠書類を揃える必要がありました。もし、人件費を計上していたら、作業日報、賃金台帳、理論労働時間計算書、年間法定福 利費などの書類を整備しなければならなかったところです。

<補助対象になると考えられる事例>

以下は、筆者が補助対象となると考えられる事例を思いつきで記したもので、採択されるという保証はありませんが、参考としてください。

①回転すし屋で、カウンター動線を替えるために、従来の周回式コンベアを分岐式コンベアに替える
→ コンベアを設備費として補助金申請する
②不動産業で、ソーラ発電による住宅模型を顧客にショールーム展示する
→ 模型を設備費として補助金申請する
③レストランで新メニューの為の調理器具(従来の者を多少改良した圧力釜、紺練り機等)を導入する
→ 調理器具を補助金申請

H26.8.1 清水一都

次回セミナーの予定